フランスの北部、パリの西部にノルマンディーとブルターニュという地域があります。
フランスでお酒といえばワインは欠かせませんが、このノルマンディーとブルターニュ地方ではワインはほとんど生産されません。
その代わりに作られているのがりんごのお酒。
この地方はりんごの産地なのです。
今日はそのりんごのお酒とガレットのお話。
りんごの収穫からシードルができるまで
9月から12月、りんごを収穫します。
ノルマンディーのりんごは固いのでそのまま絞ることができません。
機械にいれ、皮も種も一緒に粉砕します。ちなみに皮はビタミン、種はタンニンとなるのでそのまま投入。
ドロドロの状態になったら、圧縮。リンゴジュースのできあがりです。
りんごの糖度を利用して発酵をすすめていきます。
アルコール分3~5度で止めてできるのが、シードルです。
発酵するときにでる炭酸ガスが溶けるので、シードルは発泡しています。
アルコール度も低く、飲みやすいお酒です。
シードルはボル(BOL)という陶器のカップで飲むのが一般的です。
お店でCidre Boleeとメニューに書いてあったら、シードル一杯分という意味。
このシードルを飲むカップ、可愛くてお土産にもよいですよ。
ガレット(クレープ)にはシードルがぴったりです
クレープの中でもそば粉を使ったものをガレットと呼びます。
そば粉を使っているので、ガレットの色は上の写真のように茶色です。
メインの食事としていただくときは塩味で、具はチーズ、ソーセージやハム、卵、野菜などボリュームもあります。
ブルターニュの名物料理はそば粉のクレープ、ガレットです。
クレープを出す専門店はクレープリーcreperieと呼ばれ、ブルターニュの町には何件もあります。
クレープリーに行ったら、デザートもクレープで。
砂糖をかけただけのものや、写真のように煮たリンゴをいれたものなど種類も豊富です。
味は店によって違うので、評判のよい店を選びたいですね。
上の写真のお店(Creperie Ahna)はブルターニュ地方のディナンという街にあるクレープリーですが、とても美味しいのでおすすめです。
フランスに行かなくても自宅で、ガレットを作ることもできますよ。
カルバドス(アップルブランデー)
お酒の話に戻しましょう。
シードルを蒸留し、樽で熟成させたものがカルバドスです。
シールドを温めたり冷却したりを繰り返し、樽に入れるとアルコール度が70度くらいになります。
樽は新しいものは使わずにシードルを発酵させた樽や、ポートワインを作った樽などを使います。
またワインと違い、発酵させる建物は木造で、そのなかに樽を置いて寝かせておきます。
年代を明記するようなものは最低20年は寝かせるのだそうです。
寝かせたものほど高級なのは言うまでもありません。
出荷されるときのアルコール度数は42-43度に調整されます。
ワインにAOCがあるように、カルバドスにもAOC(原産地呼称規制)があります。
ノルマンディー地方の決められた地域以外のものはカルバドスは名乗れないのです。
カルバドスを名乗れないものはアップル・ブランデーと呼ばれます。
カルバドスの飲み方ですが、そのまま飲んでももちろんよいのですが、炭酸やアップルジュースなどで割って飲むのもおすすめです。
風邪をひいたらカルバドスのお湯割りに砂糖をいれて、ベッドに入ってからくっと飲んで寝ると治ると伝えられているそうです。日本でいう玉子酒ですかね。
ポモー・ド・ノルマンディー
65度のカルバドス1/3と搾りたてのリンゴ果汁2/3をオーク材の樽に入れて熟成させると、アルコール度数17度のポモーができます。
熟成期間は14か月から4年。その間に琥珀色の液体のポモー・ド・ノルマンディーに代わります。
甘口なので、食前酒か食後酒で楽しみたいお酒です。
最後に
りんごの産地で作られるりんごのお酒、いかがでしたでしょうか。
ノルマンディーやブルターニュ地方を旅した気分でシールドやカルバドスと一緒にガレットを味わってはいかがでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。